うつ病の代表的な治療方法

脳や神経の働きを正常に戻す手助けをする薬物療法


強いストレスなどにより、脳内の神経伝達プロセスに異常が起きてしまい、気力の低下や思考のネガティブ化を引き起こしてしまうのがうつ病ですが、精神科・心療内科を受診した際に主に検討される治療法が薬物療法です。

単純に不安感や焦燥感を和らげたり、憂鬱さから低下した行動力を補ったりする薬のほか、脳や神経の正常な作用を助ける物質をコントロールし、患者本人の回復力を手助けするようなタイプの薬もあります。精神科医療における薬物療法というのは、基本的には内科や外科のように見た目の症状から治療法を選択できるものではないので、本人から現在の状況や今後の希望する治療内容をしっかりと聞き取った上で、まずは効果が期待できそうな薬を処方し、その後も継続的に医師と患者がコミュニケーションを取りながら、ベターな処方を少しずつ探していく、という方法が主です(血液検査や脳波測定を診断の補助に使う医院もあります)。

患者本人の気持ちや考え方へアプローチする認知行動療法


薬物療法が、脳や神経の状態の正常化を助ける肉体的アプローチだとすれば、認知行動療法は、人間の物事の捉え方や考え方といった精神的・心理的な面からのアプローチをとる療法です。「うつ状態・うつ病になりやすい性格・傾向」の存在はよく指摘されており、特に完璧主義や責任感の強さはその関連性がよく指摘されています。

認知行動療法は、患者本人の性格を変えてしまうわけではなく、物事を今までと違った側面から見てみることで、それまでは強いストレスに感じていた物事を受け入れられる、許せるようになるといった思考プロセスを習得し、「生きやすさ」の一助とすることが目的の手法です。薬物に頼らないため、成功した場合は回復期の減薬プロセスが不要、薬物療法に比べて長期的な効果が期待できるなどのメリットがあると言われていますが、効果が得られるには時間がかかることも多く、薬物療法との併用も一般的です。